ドリブル全盛時代に考える「プリンストンオフェンス」が秘める可能性

中川です。

バスケは色んな
オフェンススタイルがぶつかり合う、
”スタイル合戦”

何をやって攻めてもいいですが、

この活動を始めて10年。
ずっと解明しきれていなかった存在が、

「プリンストンオフェンス」だった。

プリンストンオフェンスといえば
バックカットを多用し、
少ない個の能力でも強者を出し抜く

賢者が強者に勝つための
”魔法の杖”であり”希望の光”だ。

ただ、、、、

その動きは割りと複雑で難しい。

形があるようでない、ないようである。

まさに秘境。
謎多きオフェンス。

そんなプリンストンオフェンスの深淵に

今年に入って
一気に引き込まれていきました。

きっかけは、昨年の大晦日。
一つのTwitterがきっかけでした。

10年近く、
日本でプリンストンオフェンスを
研究&実践している第一人者原田さんから
パスを教えて欲しい!」と言われたのです。

それは、
僕の「今日のパス」企画
https://bit.ly/3LyXJd9

をずっと見てくれていたから。

自分で言うのもなんですが、
日本で一番パスを教えるのが得意だと自負しています。

ノールックパス
味方とのコミュニケーション
5人全員で協力し相手を出し抜く
個よりも組織
仲間を勝たせるプレーメイク

僕の活動に見出しをつけるなら、そういった言葉。

個人じゃなく、チームで勝つための術が上がってきます。

昨今、個人主義が蔓延し、

ドリブル傾倒型、
P&Rハンドラー主導の流れの中で、

僕は「5人で戦うことの大切さ」を
いつも伝えてきました。

”個人じゃなくチームで”

その戦い方において絶対に欠かせないのが、

「パス」なんです。

パスを出すには”目”がいる。

ただ、ここで言う「目」 とは、
単にコート上で状況を把握する目ではありません。

”人を見る目”
”人を活かすパス”

その根底にあるのは、

他者への
「目配り、気配り、心配り」なのです。

これは人生にも通じる考え方で、

だからこそ

”バスケを通じて人生につながる考える力を”

これが、この10年。
僕の活動のスローガンにもなっているんです。

さて、
プリンストンオフェンスとは何か?

いわば、
5人でチームを出し抜く
5人だからこそ強敵に挑めるグループ戦術です。

5人だからこそ攻めれる。
5人だからこそ難しい….。

この両面が
プリンストンオフェンスの実体で

当然、そこには壁が現れる。

「プリンストンオフェンス?」
「あのバックカット狙うやつでしょ?」
「なんだかんだ攻め手がなくなって停滞するんだよね」

「普通に1on1とかピックを使いたいんだけど…」
「結局プリンストンに縛られるだけじゃない?」

日本の多くのチームが
プリンストンオフェンスを知ってはいるものの、実践しては挫折し長続きしないのが現状です。

ただ、僕自身、
プリンストンオフェンス全盛期の
2008年の鹿屋体育大学と対戦。

あのバックカットを起点とした
変幻自在なチームバスケに翻弄され、
天皇杯予選で敗退…

そこからずっと興味があり、

それを10年近く日本全国に
発信し続けてきた大和籠球の原田さんから

「ぜひ中川さんにバックカットに使うパスを教えてほしい!」

とオファーをいただき、
今回のプリンストンクリニックが実現しました。

クリニックに臨むにあたって
これまでプリンストンオフェンスに
挑戦してきた先人の足跡をたどります。

プリンストンオフェンスは難しい….

バックカットを狙うも、
DFに先読みされ、狙いどころを阻まれ、相手に慣れられて通用しなくなる….

そんな様々な「プリンストン疲弊」問題や課題をコーチや選手など実践者からヒアリングしました。

学生からは、
「何が悪いのか自分たちでは分からない・・」
「このままプリンストンを続けるべきなのか?」そんな声も。

そこで当日に向け、
原田さんと何度も打ち合わせを重ね、
アメリカの本家プリンストン大学の映像を繰り返し分析。

成功例の解析、失敗パターンの洗い出し。
その原因と解決方法、チームでやり切るために必要な要素を全て言語化できるレベルまで落とし込み、クリニック当日を迎えました。

プリンストンオフェンスの構造を突き詰めていくと、

・基礎の土台
・判断の土台
・対人駆け引きの積み上げ
これらが不可欠であることが分かります。

非常に繊細なバスケットで、上手くいかないときは、

・数10cmのスペースのズレ
・コンマ数秒の「動き出し」や「間」の違い
・仲間とのコミュニケーションエラー
・DFとの対話不足etc

こうした複雑な要素が絡み合って、失敗に終わっていました。

そして何より、

上手くいかない本質的な理由は、

”人間の弱い心”に起因している。

誰だって1on1したいし、
派手なドリブルを突いて上手くスコアしたい….

そんな個人のエゴをぐっとこらえ、

クリニック当日、
信州大の学生たちには、何度も繰り返し

「規律」「忍耐」「他者貢献」「リーダーシップ」「意志表示」「仲間意識」「誠実・勤勉・基礎」

これらマインドセットを伝え続けていきました。

2日目は、
さらにDF強度を上げて検証。

机上の空論にならないか、問題を見つけては、その場でディスカッションと実践の繰り返し。

スイッチされた場合、
マンツーで引かれた場合、
ゾーンディフェンスされた場合・・etc
の対策まで徹底指導。

予定セッションすべてを完走することができました!

まさに
”選手一人一人と対話しながら創っていく”

これはプリンストンオフェンスの創始者、
Pete Carrilさんの哲学そのものです。

※プリンストンオフェンス自体、大学の選手と指導者がコート上で考え抜いて創り上げたものです。

この一ヶ月は、
ひたすら深く長く考え続けた日々でした….

ですが、
参加メンバー、選手たち、見学コーチ、OB・OGみんなで達成感を味わえる素晴らしい時間となりました。

以下は、今回の主催者、
10年近くプリンストンを探求している原田さんのコメントです↓↓

=======
今回の2日間、本当にすごすぎました…
中川さんのコーチングの凄さを目の前で見て、「”選手と創り上げていく”ってこういうことなのか…」と感動しました。

僕はプリンストンを2017年から研究&実践しています。おそらく日本で最も「プリンストン」「バックカット」を深めている一人です。
でも、そんな自分でも気付けない「プリンストンの本質」を中川さんから教えていただきました。

言葉がけひとつで、生徒たちのプレー、そして”練習への取り組み方”が変わっていくのを見て驚き、感動しました。

中川さんのパス、声、緩急、規律、リーダーシップ、意思表示、駆け引き、勝者のマインド、…
が加わったことで、信州大学にしかできない、日本で唯一でありながら「今後のバスケ界のスタンダード」とも言えるオフェンスになったと思います。

その考えのベースを伝えてくださり、本当にありがとうございます。

まだまだこれから実践で壁にあたるときが来ると思います。その際はぜひまたご指導お願い致します!
そして、この面白いバスケを日本全国に広めていきましょう!

===ここまで===

原田さんありがとうございます!

僕にとっても
今回かなり興味深いテーマで、

2008年プリンストンバスケに敗れた
僕自身の原体験踏まえ、
過去をたどり、過去に学び、未来を探究する、
まさに温故知新の旅でした。

今回、チャレンジに際し、
様々な壁にぶつかりましたが、

その都度の試行錯誤や、
関係者&参加メンバーとの対話、
アプローチを通じて、僕自身も学び、とても成長できました。

これからも
「パスで繋がるバスケットの価値観」
「5人で戦う奥深いバスケットの魅力」を伝えていけるよう、

バスケットを探求し続け、
発信していきたいと思います。

原田さんには、興味深いテーマでお呼びいただき、本当に感謝しています。

今回の企画に際し、
お世話になった信州大学の皆さま、
ご参加されたコーチ、OB・OG皆さま、
大和籠球の原田さん、本当にありがとうございました。

◼️編集後記:

プリンストンオフェンス本当に最高だった!

昨今のドリブル傾倒、
ハンドラー主導型バスケにはない
5人で戦うバスケの楽しさを味わえて興奮・感激しています。

あらためてバスケの原点を感じました。

この感覚や価値観は
ぜひ沢山の人に知って欲しいし体感してほしい!

プリンストンクリニックの余韻とともに、今、その想いを強めています。

ちょっと何か面白い事ができないか?
考えてみたいと思います。

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考えるバスケットの会 会長 中川直之
学生・社会人で10度の日本一を達成するなかで培った、”考えるバスケット”を全国のさまざまなプレーヤー、コーチに広める活動を行っています。

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